第2節 出荷データ加工


出荷データにある項目だけの集計では物流システム設計はできない。
Tera計算0は、ケース出荷とバラ出荷の区分、バラ数の換算計算、出荷先・アイテムのランク付けを行っている





第1項 出荷データインポート

データをAccessに取り込むことをインポート、Accessから取り出すことをエクスポートと言う。
「Tera
計算0」は、出荷データ(Excel)をAccessに取り込み「T000_出荷データ」テーブルを作成することを出荷データのインポートと呼ぶ。
Access
は初期化(Accessが空の状態)してから「T000_出荷データ」をインポートするので、
インポート時点では
Accessに「T000_出荷データ」テーブルのみがある。


 第2項 バラ数から各換算値を算出

 
 Tera計算0_データ加工ソフトが最初に行う処理は、出荷データにない、ケース数・PL数・容積・重量の換算値を計算。



計算式は

ケース換算=バラ数/ケース入数
PL換算=ケ-ス換算/PLケース積付数
容積換算=ケ-ス換算*ケース容積
重量換算=ケ-ス換算*ケース重量。


換算値はレコードごとに記録している.
 



 第3項 ケース出荷とバラ出荷を区分
 
 配送センターは、PL単位・ケース単位・バラ単位で荷役作業を行っている。
Tera計算はケース単位出荷とバラ単位出荷を分けて分析集計する、
これは配送センターの作業や保管方法がケース出荷とバラ出荷では違うからである。

計算は

1.1ケース未満はバラ出荷(ケース換算<1)
2.1ケース以上で1.・5等小数点が無ければケース出荷
      (ケース換算>=1 andバラ数 mod ケース入数=0 )
3.1ケース以上で1.1.・5.3等小数点が有ればケースバラ出荷
      (ケース換算>1 andバラ数 mod ケース入数<>0 )
4.3.の場合は整数部をケース出荷し、小数部をバラ出荷とする。
     ケース出荷のケース数=Int(バラ数/ケース入数)
      バラ出荷のバラ数=バラ数-(ケース換算*ケース入数)

計算例
A発送先にケース入数5のB商品を9バラ数する時、1ケースと4バラ発送する。
この時、配送センターの作業は、
1ケースは、他の出荷先の同一アイテムと混在して在庫エリアから一括で出庫し、仕分けエリアで仕分けられる、
4バラは出荷作業エリアのフロー棚や中量棚からピッキング出庫される。
ケース出荷とバラ出荷の区分はレコード単位に計算される。

PL
単位の計算は換算値から必要に応じて算出可能である。

注意:
小規模センターでは在庫エリアから直接ケース出荷2バラ出荷3を一度に出庫する場合もるが、
Tera計算はケース単位出荷とバラ単位出荷が区分されている配送センターを想定いて計算している。

これらの計算結果は「T110_区分換算」テーブルに保存される




上記表の
「C行」はケース出荷行数の意味、「B行」はバラ出荷行数の意味、「G行」はケース+バラ出荷行数の意味
一桁目のC・B・Gは出荷区分、二桁目の行=行数、バ=バラ数、ケ=ケース換算、PL=パレット換算、容=容積換算、重=重量換算を意味する

 第4項 ランクを付ける

 アイテムにランクを付ける

ランク分け比率は
A1
ランク 50%、
A2ランク 20%、
Bランク 15
Cランク 10%、
Dランク 5%
でランク分けされる。 
各ランク比率を変えることが出来るが合計を100%にする。

Tera計算は全出荷データをアイテム別に集計し、高流動品から順番号とランク付けしている。 このランク付けはABC分析と同じ方法である。
ABC
分析はランク3区分であるがTera計算は5区分にしている。
これは配送センターの運用設定や設備設定のランク区分が多いほどシステムの構築がしやすいからである。

経験上,10区分は多過ぎ、5区分が程よいと考える。
ランク分けに使用する項目は「レコード数(行数)」「バラ数」「ケース換算」「PL換算」「容積換算」「重量換算」があるが、どれを選択するかは議論の余地がある。

Tera
設定は、
Tera計算1では
ケース出荷を「ケース換算」、バラ出荷を「行数」と設定、

Tera計算2では
ケース出荷・バラ出荷ともに「PL換算」を設定している。

Tera計算ソフト使用して、ランク分けに使用する項目をそれぞれ設定比較したが、この設定を選んではいけないと言うほど集計結果の差異はない。
ケース出荷はケース換算、バラ出荷は行数を使用
 

出荷先にランクを付ける

出荷先ランク分けの方法はアイテムのランク分けと同じ5区分。
出荷先ランク分けはアイテムランク分けと同じ比率設定(Tera設定)
ランク分けに使用する比率やランクキーは可能である

「出荷データ」に「T180」・「T110」」をリンクすることで、「T200」テーブルを作成する

前記、「
T110_区分換算」と「T180_EIQ ランク」を作成後。
この2テーブルと「
T000_出荷データ」を連結して新規「T200」テーブルを作成する。

左記リンクを利用し無い理由は
「T200」テーブルを使用するとSQL文の作成が簡略なり処理速度向上すると言うソフト上の都合がある。

Tera計算1・2は「T200」テーブルのみにアクセスして分析集計を行っている

Tera計算0は「T200」テーブルを作成しないで、「T110_区分換算」と「T180_EIQランク」とを「出荷データ」と結びつけるとAccessの容量を小さくすることが出来るメリットもあるが。。。

第5項 テーブルのファイルレイアウト  
「行連番」から「ケース重量」までは出荷データと同じ内容、
「ダミー」はNullでTera計算が計算処理を行うとき計算区分を入れるなどで利用する項目。
(Nullとは全く情報が入っていない状態を言う) 「出荷単位」以降はTera計算0が作成したデータ。

「C行」の「C」はケース出荷のグループ、「B行」の「B」はバラ出荷のグループ、「G行」の「G」はケース出荷とバラ出荷を合算したグループ。
行番1はケース出荷でバラ出荷の項目欄は0又はnullとなり。、行番3はバラ出荷でケース出荷の項目欄は0又はnullとなる。
「CE順位から」から「CIランク」までは、ケース出荷のランク情報、「BE順位から」から「CEランク」までは、バラ出荷のランク情報でtera計算1に使用、「GPLE順位」から「GPLIランク」はtera計算2の計算に使用するランク情報。
tera計算1はランクをケース出荷とバラ出荷に分けてるのにtera計算2はケース出荷とバラ出荷合算値対してパレットをキーとしたランク付けをいている(Tera計算2の章で説明)。
行番23329の「G行」が2となっている。 行番23329はケース出荷とバラ出荷と2回出庫作業していることを示している
 

 ランク分けキー
 
 ランク分けキーは、ランク分けの基準となる数値(ランクキーを集計してランク分けしている)

バラ数がランクキーなら、バラ数量で集計し、ランク分け、
ケース数がランクキーなら、ケース換算で集計し、ランク分け

Tera計算1は、ピーク出荷日を対象として、
バラ出荷が行数、ケース出荷はケース換算をTera設定のランク分けキーとしている。
在庫から出荷作業エリアの出荷能力計算に使用する。

Tera計算2は、全出荷データ平均を対象とし、バラ出荷・ケース出荷共にPL換算をランク分けキーにしている。
配送センター規模計算はPLや・容積など保管量算出計算が多い入荷から在庫までの計算が主体。。

ランク分けキーを何にするか議論が多いところだが、著者はどの選択も可と考える。


所見

Tera計算2_配送センター規模計算で比率やラック分けキーを変更して、
配送センタ面積の変化を確認出来る。(1-2分で計算結果が表示される)

ランク付けはケース出荷とバラ出荷とに分けて、それぞれにランク付けるするのは、
ケース出荷とバラ出荷は作業運用が違うというのが理由。

ケース出荷とバラ出荷を区分しない場合
出庫回数を基準に集計するとバラ出荷が上位を占め、
ケース換算を基準に集計するとケース出荷が上位を占めるという矛盾が起きてしまう。

Tera計算は、
バラ出荷とケース出荷別にそれそれの事情に合わせてランク分けをし、
バラ出荷とケース出荷を区分して分析集計しする方法を選択している。
但し、在庫計算時は全出荷データ(バラ出荷+ケース出荷)平均する方法が合理と判断した。

ABC分析は、物流量を高流動から低流動へAランク70%・Bランク20%・Cランク10%の3ランクに分けて分析しているが、
3ランク分けは区分けが少ないと感じる。

経験上、5ランク区分にすると設備割付や運用区分が程よく分けられる。

 ランク付けの方法の具体的手順
アイテムランク分け、ケース出荷の例

1.アイテムランックキーを指定する。
ランクキーとは物量比較をする項目で出荷回数・バラ数・ケース換算・PL換算・容積換算・重量換算がある。(重量換算はほぼ使用しない)

Tera設定は、ケース出荷はケース換算がキー、バラ出荷は出荷回数がキーを選択。

2.各ランクに物量比を割り付ける。
Tera設定はA1ランク50%、A2ランク20%、Bランク15%、Cランク10%、Dランク5%の5段階に分けている。

3.ケース出荷のアイテム別に全レーコド集計。
アイテム集計を物量の多い順番にソートし、物量が多い順番に順位を付ける。
順番に従て累積物量と累積物量比を算出、2.で指定するランク区分比率に従ってランク付けする。
このアテム順位とランクを出荷データの各レコードに紐づける
紐付けることにより、出荷データの各レコードがアイテムランクと順位が解る

4.ケース出荷の出荷先ランクを計算する。計算方法は3.と同じ。

5.バラ出荷のアイテムランク及び出荷先ランクを計算する。計算方法は3.と同じ。

6.各ランク区分を「T180_EIQランク」テーブルを参照
 

T180_EIQランクはAccessのテーブル名、CE順位はケース出荷の出荷先順位、CIランクはケース出荷のアイテムランクを意味する.
 

第6項 出荷データに関する補足

一般的にはレコード数=出庫回数で計算するが、
Tera計算はレコード数と出庫回数とは違う単位としている。
レコードは出荷データの行の意味、出庫回数は出庫作業する回数。
1レコードで、1ケースと3バラ出荷した場合、ケース出荷で1回出庫、バラ出荷で1回出庫する。
Tera計算はレコード数1に対して、出庫回数2とカウントする。
通常、棚に商品を保管するすることを入庫と言い、商品を取り出すことを出庫と言う。
この入庫と出庫は保管スペースの棚と作業スペースの棚に対して、同じ入庫出庫と言う言葉を使うことになる。
以後本書ではこの重複を避けるため、
保管スペース棚に商品を保管することを蔵入れとし、保管スペース棚から商品を取りだすことを蔵出しと表現する。

蔵出しした商品を集荷先別に配分することを仕分け(種まきとも言う)という。蔵出しした商品を出荷作業スペースの棚に商品を入庫(補充)して保管し、その棚から集荷先別に出庫(摘み取りとも言う)することをピッキング(ピックとも言う)と言う。

「仕分け」と言う言葉は、仕分け(種まき)とピッキング(摘み取り)の両方を含んだ意味で使われることが多々ある。以後、本書では仕分=種まき、ピッキング=摘み取り、仕分け=種まき+摘み取りと理解頂きたい。

Tera計算は配送センターシステムを扱っており、車に載せた後の輸配送には触れていない。
輸送配送については他著作にて確認頂きたい。

出荷データ分析集計数値は全て倍精度(PCでは一番高い精度)を使用している。 しかし、計算結果は複数の計算処理工程を経いているので誤差は否めない。 その場合はご容赦願いたい。(現時点での誤差が出ている表示は確認していない)
画面表示は四捨五入を行いできるだけ整数で見やすくしているが、ソフトは倍精度を保持している。

配送センターはピーク時間帯の作業を処理できる能力が求められ、対応できない場合は対応策が必要となる。
前倒し作業や増員がこれにあたる。Tera 計算のピーク時集計はピーク時対応策された場合考慮しながら見てほしい。

各工程のピーク時間帯は出荷データの出荷時間を基準に決められ、決められた出荷時間までに出荷が完了できるようにしなければならない。 従って、出荷の上流工程は開始と終了がずれることを留意する

専用便(自社便)と宅配便
専用便(自社便)は、荷主又は運送業者が荷主専用の配送ルート及び配送トラックを確保している配送の仕組み。
宅配便は、運送会社が固定した独自の配送ルートとトラックを確保し、荷主がケース単位で配送を依頼する配送の仕組み。

 
第2章 Tera計算0 出荷データ加工