第1章 物流について

物流について知るために、古代から現在への物流の返還について調べると、現在の物流が見える。 初めは人から人への手渡し、馬・牛やラクダの陸上輸送と船による海上輸送、、蒸気機関を動力とした汽車・船、そして現在の飛行機・トラック輸送。輸送機器の発達とともに少量輸送から大量輸送と発展してきている。
物流の返還の着目点は、輸送ルート・輸送手段、その時代のニーズと時代背景であるが、詳しくは「江戸から令和まで新・ロジスティクス歴史物語」苦瀬 博仁()を参考頂きたい。

物流は出発(物流拠点)と到着(物流拠点)がありこれを結ぶ線(陸路・海路・空路)がある.
この点と線が複数結びついて物流ネットワークを構成している。
物流ネットワークは自然発生したものもあるが、大部分は国や県及び都市計画や地域計画の管理下で計画的に作られている。詳細は「物流と都市地域計画」IBS「都市と物流」研究会()を参照頂きたい。

当著作は、物流拠点に立地する物流施設の物量計算と設備規模計算について解説している。Tera計算の適応範囲は段ボールケースでパッケージ化された入荷物で、店舗納品・通販への出荷を想定している。
物流センターは
以後、物流施設の適応範囲を限定している意味を込めてTera計算では物流施設を物流センターとは言わず配送センターと言うことにする。

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第1項 配送センターの基本フロー

配送センターは、アテム別に入荷・保管され、出荷先別に仕分け出荷される。 入荷から出荷にいたる各工程の物量により物流機器や作業運用が選択される。
入荷バースは、納品業者のトラックが着床する配送センターの入り口で、慣習として納品業者がトラックより荷降ろし作業をする。
配送センター側の作業開始は、入荷エリアに降ろされた商品の入荷検品(数量検品)から始まり、注文通りの数量か否か確認し入荷確定をする。 まれに品質検品(形状・寸法:・破損・変形・鮮度等のチェック)がある。
入荷検品後、入荷商品は保管エリアに搬送して空き棚に保管する、 この時、どの場所に何のアイテムを何個保管したかを記録(ロケーション管理と言う)する。
保管エリアでは出庫作業の他に、保管率を上げる(空き棚を作る)ために商品を移動する作業がある、これをロケーション移動と言う。 また、まれに流通加工(タグ付け・セット組:衣服のプレス・再包装・飲料原液を薄め瓶詰等)を行う配送センターも存在する。
ケース単位で出荷する商品(アイテム)は、保管エリアから複数の出荷先分を一括出庫して仕分け機(或いは出荷用カゴ台車に手作業)で出荷先別に仕分られる。
バラ単位で出荷する商品(アイテム)は、保管エリアから出荷作業エリアに設置されたフロー棚や中量棚にアイテム別に補充され、フロー棚や中量棚から荷先別にピッキング(摘み取り)される。 フロー棚・中量棚が採用される理由は、保管エリアの保管場所は高所保管でエリアが広く、小口出庫の効率が悪いためである。
仕分けられた商品は出荷検品(数量検品)後、同一トラックに載せる発送先(出荷ルート別)に出荷エリアで一保管される。
慣習として、出荷バース着床のトラックに載せる作業は運送業者が行う、配送センターは運送業者の荷受け確認の後、出荷確定をする。

第6節    配送センター設計

1. 自社設備と業務委託

2. 立地と規模

3. 計画のコンセプト

①問題の明確化、②投資予算の算定、③計画システムの基本構想

4. 〈第3節〉プロジェクトマネジメント(構築ステップⅡ)

5. ①プロジェクト組織作りと役割、②プロジェクトの活動

6. 〈第4節〉基本条件と計画条件の設定(構築ステップⅢ)

7. ①要求仕様分析、②計画条件の設定

8. 〈第5節〉物流センターのプランニング(構築ステップⅣ)

9. ①敷地内全体配置とモデルプランの検討、②システムの比較・検討・評価、③マスタープランの仕様の確定

10. 〈第6節〉設計・施行管理(構築ステップⅤ)

11. ①建築・物流システム機器設計との進め方、②施工管理

12. 〈第7節〉運営のためのマニュアルの作成(構築ステップⅥ)

13. ①運営マニュアル、②現場作業マニュアル、③オペレーションマニュアル

14. 〈第8節〉物流センターの完成引渡し(構築ステップⅦ)

15. ①試運転と能力テスト(総合テスト)、②引渡しのチェックポイント

16. 〈第9節〉保全・保守(構築ステップⅧ)

17. ①保全・保守の考え方、②ユーザと保守サービス委託会社の役割、③保守計画の立案と予算化、④リモートメンテナンス

第5節    省力化機械化について

1. 省力化とは

2. 機械化とは

3. 規模と物流量波動、稼働時間

4. 投資対効果

第3節    包装・梱包と物流の発展

輸送機器の発展は搬送容器の進化がもたらしたと言っても過言ではない。
荷そのものを包装せずそのまま人力で輸送する時代があり、動物の皮や胃袋で袋を作り馬やラクダで輸送した時代、麻袋や袋・俵や木製樽などに入れて海上輸送した時代、金属や樹脂を利用し且つ容器が規格化し空路まで可能にした現代まで包装・梱包と輸送方法の発展は相互依存している。

現在最も利用されているトラック輸送は段ボール包装が多いが、この段ボール包装が配送センターの荷役機器の発展に寄与している。 例をあげると、荷のパレット化による多量搬送と棚を用いた荷を破損することのない段積保管やコンベヤ搬送を可能にした。
パレット化の普及はパレットの規格化・段ボールモジュール化と発展しコンテナやトラック積載効率を上げた。
モジュール化とは段ボールの縦と横の寸法を調整することによりパレット平面の積載面積を増やす方法で、段ボールの高さを加えた3次元のモジュールも含む。 このモジュール計算より決められ段ボールサイズに基づいて個々の商品寸法と段ボール入数を設計する手法。

段ボールの普及は輸送だけではなく配送センターの自動化機械化に寄与しているが、もう一つ上げるならばバラ商品を入れる樹脂コンテナの普及がある。
段ボール包装の欠点として、
1.バラピキング商品はピキング時の入出庫搬送や棚保管が伴う、段ボール内の商品がピッキングにより少なくなると重量が軽くなり搬送や保管が不安定になり自動搬送や自動保管が難しくなる。
2.段ボールは商品により寸法が違い、縦横高さの1辺でも寸法が大きい(小さい)と自動機に搬送・保管が出来ない、形状の違う段ボールケースは保管効率が悪い。
樹脂コンテナはこれらの不具合を補う。樹脂コンテナは空容器でも搬送保管が安定して容器寸法が規格化されている。

第2節    物流の種類

物流は運ぶ荷によっていくつかの種類にわかれる。
歴史的に物流の発展に寄与してきた2次産業を中心にした見方で、1次産業(農業・林業・漁業等)から2次産業(製造加工業、建設業、鉱業)への荷の動きを調達物流と言い、2次産業間の荷の動きを生産物流、2次産業から3次産業(卸小売業、宿泊・飲食サービス業等)への荷の動きを販売物流と言う。これら3物流を人体の血管に例えて動脈物流と言う。
一方、動脈の荷と逆の動きをする返品物流や生産側が使用済み商品を資源ゴミとして引き取る回収物流、完全にゴミとして収集する廃棄物流がある。これら3物流を静脈物流と言う。

これらの他に情報や輸送が発展したために上記の動脈物流・静脈物流で区分できない物流が出てきた。
それはEC物流(Electronic Commerce=電子商取引)による物流。
BtoB
Business to Business=企業から企業)・BtoCBusiness to Consumer=企業から個人)・CtoCCustomer to Customer=個人から個人)の取引に区分されている。
EC
物流が拡大する原因の一つに物流代行など売る側が物流機能なしでも商売ができる物流環境も上げられる。

動脈物流・静脈物流が2次産業を中心とした区分に対し、消費者中心とした消費者荷を届ける物流の全部を対象とした消費者物流と言う区分もある。 消費物流は拡大すると言われてるが、これは売り手と買い手(当事者同士)は情報と物量環境が整えば直結するという自然な流れである。

あああああ
































第1節    商流と物流

商流は供給(生産者)から需要(消費者又は生産者)に商品を提供し代金を回収するまでの商業活動全般をいう、詳細は他著作を参照頂きたい。
物流は商流の一部で実際に商品を触る業務。その業務は商品の輸送・保管・仕分け・物流加工・包装・納品を行う。
商流と物流は連動しており、入荷予定情報・入荷確定情報、出荷指示情報・出荷確定情報、在庫管理情などの情報交換が行われる。

企業は商品価値と価格で競争するが、消費者は同じ商品価値で同じ価格なら物流が優れた(納品が早く正確に、品質が保持された)企業を選択する。 この消費者ニーズが物流を企業戦略の一つと位置付けられる所以である。
しかし、近年様子が変わってきた。それは環境問題、少子化による労働力不足など物流を根本的に変えなければならない時代になってきている。
配送センターにおいては人員を少なくするため機械化・自動化が積極的に導入される。 現在、大型配送センターではファクトリーオーメンション(工場の自動化)のような無人搬送やロボットが導入されている。特にバラ出荷商品の保管や搬送方法が進歩してきている。

機械化・自動化には出荷データの分析が必要でTera計算1がその役割をにない、さらにその機器設備を導入した時の設備規模の計算方法をTera計算2で学習いただきたい。


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第3項 システム設計関する一考

システム設計は、機器・作業運用・情報のシステムを構築して、最適な配送センターのレイアウトを行うこと。 この最適について下記で説明する。
最適に正解は無く、複数のレイアウト案を比較して検討を繰り返すことになる。 例えばレイアウトAから最新設備のレイアウトBを検討する。 レイアウトBの設備投資コスト増が作業削減コスト減より大きければレイアウトBは最適とは言えない、次にレイアウトBの投資コストを抑えるためのシステムC作成することになる。
このように物流のシステム設計はトライ&エラーでブラシアップしていく仕事となる。
最適は、比較する元となる機器設備:作業運用の事例が必要。 しかし、過去の事例がない(入手困難)場合が多い。 過去の事例が無いときはシステム設計者が作成した複数の案が必要となる。
著者の経験として比較元となる配送センターは、Tera計算2 で採用している、格納設備はPL固定棚とフロー棚・中量棚、荷役機器はフォークリフトとカゴ台車等を使用した作業運用の配送センターが良いと考える。この構成の配送センターは、小規模・大規模を問わず1配送センターとカウントすると、類似構成の配送センターは全国で8割以上(割合未確認)有るのでは、と感じている。
手順として、Tera計算2を検討案1とし、PL固定棚をPL電動棚(PL自動倉庫でも良い)に変更した検討案2を作成、この2案の検討から生じた対策案作成と言うトライ&エラーを行うことで、投資対効果が優位(最適)なシステム構築ができる。

Tera計算2は教育ソフトを主眼といてるが、導入事例が多いPL固定棚・PL電動棚・PL自動倉庫・フロー棚・中量棚を指定して設備規模と面積計算ができる。
ターゲット物流設備検討時の比較案としても有効ではないかと考えている

注:Tera計算では検討範囲に含んでないが、配送センターは安全が最優先である。 安全基準は行政の法令や社内基準、製造するメーカの安全基準がある。
次に大切なのは作業環境で、過度な作業員負荷が無く、衛生が保たれ商品の品質保持ができること。 この2点は「最適」と同時に検討評価しなければならない。

第2項 PCB分析と物流機器

配送センターはアイテム単位で入荷して、出荷先単位で出荷する、また保管もアイテム単位である。
事前に出荷作業し発送先別保管して、指定出荷日に出荷する送先別保管もある。
しかし特殊な例なのでTera計算2は発送先別保管は考慮していない。
配送センターは、搬送・入庫・保管・出庫・仕分け・検品の各工程を「パレット(P)かケース(C)か、又はバラ(B)で存在し、このPCBによって保管・荷役機器設備がことなり、作業運用も変わる。
PCB分析は、配送センターのPCBの各物量を見極めて最適な機器設備と作業運用を割り付ける分析。
Tera計算1は、C(ケース)とB(バラ)に分けて集計するソフトで、EIQマトリクス集計から配送センター各工程のCとBの数量を取り出すことが出来る。
P(パレット)はケースの搬送・保管時変形としてとらえケース出荷として扱っている。

第4節    配送センターのシステム

Tear計算は物流機器設備の選択と規模計算を行っている。
配送センターは大きく分けて。物流情報管理システム、物流機器設備システム、作業運用管理システムがる。

1. 物流情報管理システム(物流管理と機器制御)
物流情報管理システムは、上位のホストコンピュータ(営業情報・仕入情報・在庫情報を統合したコンピュータ)から入荷予定情報と出荷指示情報を受信し、作業を行い、入荷確定情報と出荷確定情報を上位のホストコンピュータに送信している。
ホストコンピュータは在庫情報を一元管理ており、SKU(Stock keeping Unit)管理されている。
一元管理とは、データを複数のコンピュータに分散保管せず、1つのデータベース(ホストコンピュータのDB)に保管し、すべてのコンピュータ(端末コンピュータ)がDBにアクセスして入出庫・在庫データをリアルタイミングで更新する管理方法。 SKUは、入荷・保管・出荷を管理する最小の単位、同じ商品でも賞味期限や製造ロット番号を含めて管理することをSKU管理と言う。 100アイテムの商品に平均5の賞味期限があるとすると配送センター(物流管理)は500に区分された識別し管理をしている。
配送センターの情報システムは上記に説明したデータを管理する物流管理システムの他に、ハンディーターミナル(作業員が持つPC端末)の送受信を制御や機器動き操作する機器制御システムがある。

2.物流機器設備システム
物流機器設備システムについては別章で説明。


3.作業運用管理システム
作業運用管理システムは、作業管理者が行う仕事で必要人員の手配や作業の順番や方法を決め作業の進度管理し計画通りに配送センターの運用を行う。