第2節 従来計算(ABC分析)とTera計算の違い

Tera計算では、ABC分析の手法で集計する計算を従来計算と呼んでいる。
ABC
分析はランクを3分割でランク別集計と出荷先集計をしているが、Tera計算はランクを5分割でランク別集計と出荷先集計をしている。
 従来計算は、アイテム集計と出荷先集計の各項目の合計は同じだが、二つの表の関連性は無い、したがって従来計算は、この二つの表からアイテムランクA1の商品がどのような出荷先ランクに配分されているか情報を得ることはできない。 
 配送センター規模や運用方法を検討や各工程の物流量を計算するときに出荷先とアイテムを関連付けたデータが必要になる。 
Tera
計算は「アイムランクと出荷ランクを関連付けて、アイテムランク5*出荷ランク525ブロックに区分し集計する方法を提案している、Tera計算ではこの集計表をEIQマトリクス表と言う。 また、Tera計算は同じランク区切りで行数(出庫回数)、バラ数、ケース換算、PL換算、容積換算、重量換算を選択して表示する工夫をしている。
このマトリクス表を見ることにより例えば。
出荷作業エリアに設置したフロー棚にアイテムA1ランク保管した時、何回ピッキングして、総バラ数は幾つか、その時の容積は幾つか、出荷コンテナは何個必要か、保管エリアからフロー棚の補充は何ケースになり、保管エリアから混載PLで運んできたとき何パレットになるか容易に計算できる。

第1項 EIQマトリクス集計表

EIQマトリクス表で表示単位バラはバラ数、ケースはケース換算、PLはPL換算、容積は容積換算、重量は重量換算を意味している。 今後、バラ数以外の物量単位は全てバラ数から換算された換算単位であることを留意して頂きたい(ケースと言う表現が有ったらケース換算と言う意味)。
前記にEIQマトリクス表は5*5=25のブロックに分けた集計表であることは述べたが、横計は出荷先物量の集計で、縦計はアイテム物量の集計である。 もし、EIQマトリクス表が表示単位をPL換算した場合、横計は従来計算アイテム集計のPL換算と合致、縦計は従来計算発送先集計のPL換算と合致する。  マトリクス集計と従来計算はリンクしており常に同じ内容を表示する。 発送先数・アイテム数においても同様である。

本来は、どのアイテムがどの発送先に行っているかの物量をみてシステム設計を行うのが筋で、鈴木震先生はこれをEIQ表として紹介している。
確かに発送先数50程度、アイテム数100程度あればEIQ表作成し検討することは可能。 しかし、今回の出荷データのように、発送先400以上でアイテムは4000以上あるEIQ表は8畳の広さには収まらない表となってしまい、とても読み切れない。
Tera計算では、EIQ表をランクでグループ分けした集計を考案し、これをEIQマトリクス表と呼ぶことにした。

また、EIQ表を点で表示して散布図にする方法がある。 発送先400・アイテム4000は図にし、PC画面上で横スクロールして、視覚的にEIQ表の散らばりを見ることが出来る、tera計算では、この図をEIQ散布図と呼ぶことにした。
次に、鈴木震先生が考案されたEIQグラフを紹介する。 このグラフは、発送先の物量累計・アイテムの物量累計を曲線で、発送先出庫回数とアイテム数出庫回数を棒グラフで、一日の物量を一つの図で表現している。EIQ表及びEIQグラフは別の著作物で確認頂きたい。

 

第2項 どの出荷日に着目して集計するか

Tera計算1・2は、どの出荷日を選択しても計算可能で有る。 出荷日の物流量の増減で出荷データの分析結果も変化し、配送センター規模計算結果も変わる。
物流機器は保管量、入出庫などの時間当たり処理能力が重要視され、物量の多い出荷日のピーク時間を参考に検討されるのが一般的である。

しかし、配送センターの規模計算で物量の多い出荷日を選択すると必要以上に大きい配送センターが計算される。
配送センター規模は、出荷日選択ではなく、出荷データの全体平均をとるべきである。
理由は、出荷の多い日は安全在庫から出荷すればよい、安全在庫は入荷日の遅延や入荷量数量減時の安全を見た在庫設定あるが出荷量変動にも使用される。
もう一つの理由は、特定の出荷日で計算すると、その出荷日に出荷しないアイテムの情報が計算に反映されない。 大口出荷先は出荷曜日が決まっていることが多く、出荷されるアイテムも一定間隔となる、従って高流動アイテムが低流動品となったり、出荷アイテムから漏れたりする。 全データを対象にすれば全アイテムの情報を取ることが出来る。
Tera
計算2は出荷データの全体の平均をTera設定にしている。

Tera計算は5分程度で1回の計算ができるので、各出荷日の配送センター規模を計算し、出荷量と規模の増減と将来物量を加味して、配送センター規模を決めるのも一つの方法である。

第3項 出荷時間・出荷ルート・出荷区分・アイテム区分を集計に反映する

出荷データの項目に出荷時間・出荷ルート・出荷区分・アイテム区分がある。 出荷時間は1時間区分でtera計算1の抽出条件設定で時間指定して指定範囲内の集計が可能である。
この項目は、前通し作業が可能か否かを判断する時、前倒し対象時間帯物量と前倒しをする時間帯を調査する時。
時間帯別の物量からトラック手配スケジュールを組む等に利用できる。
出荷ルートは自社便の同じ方面に行くグループをトラックに積載する区分や宅配便の区分や運送業者の区分等、出荷スペースのどの場所に出荷先集め、どのトラックに載せるかるかの情報を記載。
出荷区分は、自社と出荷先との関係や出荷時コンテナ容器か段ボール包装かを記載、またタグ付け等物流加工を依頼する企業などの区分情報を記載。
アイテム情報は入荷時に必要な区分が記載されている。 例えばスポット外注であれば品質検査をあるとか、自社工場で有れば自社便で入荷するとかの区分情報。


第6項 EIQマトリクス集計表の応用例

 商品あるいは発送先をどのような出荷方法で行うかEIQマトリクスで検討できます。
出荷方法のキーになるのは出荷物量。発送先及び商品を物流の多い順番に表にしたものがEIQマトリクスです。
先記表はアイテム・出荷先について0.5パレット以上/PICの物量をパレット出荷と命名しました。
このパレット出荷グループはピッキングエリア又はSASで作業するのには作業効率の悪いグループで、かつ、種まきの作業効率が良く2・3発送先分の種まきエリアで処理できます。
パレット出荷以外のグループはピッキングエリアに一時保管しそこからピッキングすると良いグループであり、SASが活躍できるグループでもあります。

このEIQマトリクス表は発送先・商品がどのグループに有るか明確にわかることです。 どのアイテムを何時ピッキングエリア(SAS)に補充するかも計算することができます。




下記表はEIQマトリクス表作成と同一元データを加工して作成したスケジュール表です。

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